むとうゆたかのありがと横丁☆

essayist, copywriter and blog writer. ネコ大好き。カフェ好き。代表ならなんでも好き。フリーランスの、エッセイスト。コピー。仕事の話や私的なメッセージはspontaneusly1969@gmail.comまで。

小説下書き。

   電信柱に、鴉が鳴いていた。不吉だな。と思いつつも、通り過ぎた。

ずるい、と子供が母親に叫んでいた。なにがずるいのだろう。
よくわからない。ずるい、ずるいと叫んでいた。
そこも通り過ぎた。駅前の喫茶店につくと、座席につき、
ブレンドと注文した。喫茶店は静寂だ。水を一口飲むと、
おもむろに、文庫本を開いた。文庫本は小さく軽く、
とても便利だ。苦いコーヒーを飲むと、いい香りで
体内が満たされる。
 文章を追っていると、ちょうど主人公が、
恋人に ずるい、ずるいわあんたは。という
ことを言われたところで一旦閉じた。
映画の主人公が洞窟で、黄金の像を持ち、
後ろから大きな石が転がってくる場面が
ふと浮かんだ。転がってくるのだ、ごろごろと。
そして、しつこく。
文庫本を閉じて、コーヒーを口に注ぎ、
僕は会計に向かった。僕の財布の
小銭いれは、5円玉でふくらんでいた。
プリペイドカードで支払った。
もう一つの財布は多様なカードで膨れていた。
僕は両方で支払った。
 街を歩くと、市場の賑やかさが、
感じることができる。これはどの国でも
同じだ。店員が声をかけ、匂いが立ち込める。
おばあちゃんが背中を丸めて、カートを
押しながら歩いて行く。
魚を買ってねぎも買っていく。
コンビニの会計が機械化している
昨今、声をかけるとニコーっと
笑うんだ。おばあちゃん。
これは昨今によく見られる現象で、
ロボット店員の店と、ヒューマン店員の
店とわかれつつあることだ。
どの店もフランチャイズでどの店もロボット
のチェーン店もある。だがいずれどの
店も、ロボットの向上で全部が導入
されていくだろう。
僕にとっては当たり前の風景だ。
 いててっ。また僕に頭痛がきた。
どの薬品が悪かったのだろうか
わからない。毎日20錠飲んで
いるからかもしれない。
遺伝子が傷ついているのかもしれない。
 もういいや。
急に僕はめんどくさくなり、思考をきりかえた。
女の子だ。女の子の要素が僕には足りない。
わかってる、わかってるんだけどさ。
誘う勇気がないんだよ。シュミレーションを
アタマの中で何百回とするんだけど、
無意味なんだよな。ゲームなら「一緒に行こうよ」「うん」
で簡単なんだけどさ。
僕はもてないしなあ。自信がないんだ。
八百屋を通り過ぎ、ゲームセンターに
向かった。入り口でバーチャルレンズを
借りなくてはいけない。バーチャルレンズが
ないと遊べないんだあっと恐竜に噛みつかれる
ところだった。あぶねえ。
クマに出逢ったり、蛇にからまれたり、滝に落ちたり
怖かったが、バーチャルレンズをはずせた。
製造番号は0911だった。
アパートに帰り、タブレットでテレビ番組を
みる。コメントをつけられるのが面白い。
スターウォーズを続けて観ていた。
ルークがまたジェダイを育てる
のに苦労していた回だった。
完全自動のエアコンは、室温を18度
にしたまま、静かにクルルと活動している。
タブレットで求職のサイトに11件目の
登録をしたあと、僕は眠りについた。
 
  夢のなかは自由で、30代の女性と
手をつないで、雲の中をとんでいた。
すわわ、と飛ぶうちに家に戻り、
帰ってきた。地元は電気が空を
照らしていた。また部屋に戻ったのは午前1時
である。(今日の過程よりも、明日はどうするか)
今を充実させることだ。いま、今なのだ。
また布団の中に忍びこんで眠るのだ。
 また夢をみた。
貧困家庭をまちなかで数多く見受けられた。
三人の女の子と一つのロボット、そして私だ。
みんなカップヌードルを飲んでいた。
単価が安いからだ。
いま、国の間接税が20%も高く
なってきて、みんな安い製品
ばかり食べるようになってきているからだ。
ロボットが各個人の話すことを
理解して、話し相手をしていた。
これも驚きだった。
テレビを観ているとニュースが
お金のことばかりでうんざりする。
 おおきなおうさまが、家計を全部
税金をつかって暮らしていた。
でもそのことが民衆にばれて、
ひたすら誤ったり、精査しますと
釈明していたが、民衆の怒りは
収まらなかった。
このままでは済まないなあと
ぼんやり思っていた。
夜空にふんわりと、月が出ている
のをみたら家についた。
鍵でドアをあけて、
「ただいま」
とつぶやいて僕は帰宅した。
「おかえりなさーい」
とムスメが二人ぱたぱたと集まって
きた。そしてロボットもウイーンと
きて「おかえりなさいませ」と
お辞儀をする。この風景
にはすっかり慣れた。
「今日のメシなにーっ」
と奥様にきくと「タコライスよ」
とかえってきた。
「おいしそうじゃん」
「ふふ」
と笑顔をみせた。
「ほらほら、お前たちも座って」
「はーい」
「いただきまーす」
と食べ始めた。
「どうだった、職探しのほうは」
と妻にふると
「だめだめ、いまは派遣しかなくて。正社員も探しているんだけど」
「だよな、厳しいか」
「おまえらはどうだ。ちゃんと勉強してるか?」
「うん、まあまあだね」
「わたしもまあまあ」
「家からは東大はでないな」
僕は苦笑した。
「お前はどうだ」
とロボットの方をみると、
「元気ですよ、わたくしは」
と答えた。
「いつも平常心だな、おまえは。
うらやましいよ」
「いえ、どういたしまして」
とロボットは答えていた。
早めに食事をきりあげ、
僕は二階の自分の部屋に向かった。
夢についての小説を
こっそり書いているのだ。
しゃべって打ち込むか、
タイピングして打ち込むかあるが、
今日はしゃべって打ち込んだ。
まだ夢は続く。
 砂漠に僕はいた。
そこには無数の風車が回っていて、
その足元のみ緑が生えていた。
放置されたジープがあり、
灼熱の太陽が照らしている。
僕は太陽電池付きのテントを
はり、その風車からプラグを
ひっぱり、水製造装置をまわした。
原料は水素モーターだ。
テントの中はこれらの装置のおかげで
涼しい。僕はそのテントの中で
本をめくった。
ずるい、ずるいぞ。と書かれていた。
みると片隅にパラパラ漫画が書かれていて
パラパラ80p書かれていた。
ここを読めというページ
の→を進むと<もっと賢く知恵者になりなさい>
と書いてありそこで終わった。
 ベッドをおりて、水を飲むとあたまがすっきりした。
「朝だよ」
という娘の声で起きたのだった。
「先生からのメールが届いているよ」
というので「どれどれ」と開いた。
立体ホログラムで「・・・・娘さんはがんばって勉強しています。算数が苦手で国語と体育が得意です。また学校にきてください・・・・」
「おー、なかなかじゃん。」
「へへー。」
「じゃあ父さんまたねー。」
自分の子にしてはよくできてる。遺伝子検査ではまあまあだった。
最近では遺伝子手術という手法もあるが、僕はとらなかった。
まあいずれ取るだろう。
 遺伝子の手術は天才になるような手術も高額だが行われている。
大抵は不都合な部分の改良が多い。天才の精子をつける
ことも行われるようになった。その行為に
道徳に反するという意見も多い。
人類は神のみができる行為に踏み込んでいると言っていた。
僕はわからないが、不気味さだけがわかる。
人類は神に抵抗するのだろうか。